お話をうかがったのは、
岡田 隆さん
Takashi Okada
日本体育大学体育学部准教授(運動器外傷学研究室所属)。理学療法士。日本体育協会公認アスレティックトレーナーであり、自身もボディビルダーとして活躍。近著に『骨格バランス改善メソッド』(ナツメ社)など
立つ・座る・歩く。日頃の動作で体は戻せる!
骨盤を立てて、肩甲骨を閉じる。まずは正しい姿勢を体で覚えて、日常の動作に取り入れるだけで、美しい姿勢は取り戻せます。
日々の悪い姿勢が
骨格のくずれに発展する!
「骨格バランスがくずれる大きな原因は生活習慣です。立つ、座る、歩いているときの姿勢の癖。それが小さな癖であっても、長時間続けていれば、大きな負担になります。この積み重ねにより、筋肉が硬直して血流が悪くなり、手足の動きが鈍くなったり、痛みが生じることも。それをカバーするために、他の部位に不自然な負荷がかかり、やがて骨格が変形していきます。 正しい姿勢維持のために注目すべきは、体を支える『背骨』、脚の動きに関係する『骨盤』、腕の動きに関係する『肩甲骨』の3カ所。つねに骨盤を立て、肩甲骨の寄せを意識することが最も重要です」(岡田先生)
骨盤を立て、肩甲骨を閉じる
横から見たとき、後頭部、肩甲骨、ヒップ、ふくらはぎ、かかとの5カ所が縦一直線上にあるのが理想。しかし、年齢を重ねると多くは骨盤が後傾ぎみになり、腰椎の前弯カーブが喪失し、背中のラインがくずれる、猫背でお腹が出る姿勢に。まずは骨盤を正しい角度に立て、左右の肩甲骨を寄せ、頭が頸椎の真上にのるように。頸椎の前弯、胸椎の後弯、腰椎の前弯のカーブがある立ち姿を目指します。
これが大事!
骨盤の正しい角度をマスターする
骨盤だけ前傾、後傾と動かし、その中間の角度が正しい位置。お尻の穴と膣を締める感じ。MyAge世代に多く見られる後傾ぎみの人は、"骨盤を立てる"ことを意識!
[右]両手で骨盤の側面をつかみ、お腹を凹ますような要領で、骨盤を後ろに傾けます=後傾。[左]お尻を引きながら骨盤を前に倒します=前傾。この動きを感じることが大事
骨盤を立てて坐骨で座る
現代の生活では、座っている時間が長いため、座り姿勢の癖により、骨格がくずれていくケースが多発中。ここでも重要なのは、骨盤と肩甲骨の位置。多くの人は骨盤が後傾ぎみなので、"骨盤を立てる"ように意識して。重心を尾骨ではなく、坐骨に置き、背骨を座面に対して直角に立てます。左右の肩甲骨を寄せ、お腹を凹ませて、上半身を上方向に伸ばし、座高を高くするのがポイント。
[上]背中を丸めて背もたれに寄りかかると骨盤は後傾、重心は尾骨に。[下]背筋を伸ばし重心を坐骨に移動=骨盤を立てた状態。この〝骨盤を立てる〞感覚をつかみます
これが大事!
腸腰筋を意識!
坐骨で座り、腸腰筋(足の付け根、指がぐっと入る部分)を使い骨盤を立てて。
つづいて、「歩く」姿勢をチェック!
母趾球でしっかり蹴り出す!
正しい立ち姿勢から、足を前に踏み出し、かかとからソフトに着地。そのまま足裏全体で体重と衝撃を吸収し、足裏をローリングさせるように重心を移動させ、母趾球(親指の付け根)で蹴り出します。この蹴り出す足に意識を集め、少し長めに後ろに残すような気持ちを持つのがポイント。お腹を凹ませ、背筋を伸ばし、腰からが脚という意識を持ち、少し大股で歩くように心がけましょう。
これが大事!
足裏全体で体重を支え
母趾球で蹴り出す!
重要なのは、足の裏全体で体重や衝撃を吸収し、親指でしっかり蹴り出すこと。足の外側だけに重心をかけて歩いていると、股関節や膝の歪みにつながります。
[右]着地はソフトにかかとから。体重を足裏全体で支え、足をローリングさせて体重移動させます。[左]最後は母趾球で蹴り出します。つねに母趾球で蹴ることに意識を集中して
タンクトップ¥6,000・黒パンツ¥8,500/AWA(スキンアウェア) 白Tシャツ¥38,000/ステラ(マックス&モイ)
トップス¥29,000/ストックマン(ヨーロピアン カルチャー) パンツ¥16,000/フィルム(ソブ) 靴¥15,000/ダイアナ 銀座本店(ダイアナ)
撮影/城 健太 ヘア&メイク/木下庸子〈P66〜75〉
モデル/栗本奈央 スタイリスト/鈴木由里香
イラスト/かくたりかこ
取材・文/山村浩子